「今から五十年前、私は数学から経済学に移った。その直接的なきっかけは、河上肇の『貧乏物語』を読んで、大きな感動を覚えたからであった。とくに、序文で、河上肇がジョン・ラスキンの有名な言葉を引いて、経済学の本質を説いたが、その言葉は、当時の私の心情にぴっ ...
パリオリンピックが閉幕して数週間が経ち、パラリンピックが開幕するタイミングでこの文章を書いている。オリンピックに限れば、開幕の式典でどんな音楽が流れるのか、注目していた。選手団が船に分乗して、セーヌ川を存分に活用しながら式典が繰り広げられたことや、た ...
[巻頭エッセイ]村上哲明「過去を未来へ:植物標本の科学的意義」──今年7月,奈良県立大学で,貴重な植物標本が誤って大量に廃棄されたというニュースが報じられた。この標本群「岩田コレクション」は,元高校教諭の岩田重夫氏が1950年から約40年にわたり収集 ...
アメリカの主婦たちに広がっていた原因不明の不安やいらだち。その「名前のない問題」の正体を探ったフリーダンは、結婚して夫や子どもの世話をすることが幸せだとする「女らしさの神話」の存在に行き当たります。本書は、20世紀フェミニズム運動が高揚するきっかけを ...
震災から1年経って、椅子に座って演芸を楽しめるまでになったのだ、という状況もちゃんと感じてもらいたかった。 (2012年、林家たい平師匠の東北での落語会終演後のスタッフへの言葉) ...
近年、ローマ字の表札をしばしば見かけるようになった。この家の住人は「田中」ではなく、「TANAKA」なのか。そうではないだろうと、いらぬ心配をしてしまう。流行、オシャレだからと ...
岩波新書新赤版二〇〇〇点突破記念の新書として、拙著『ケアの倫理──フェミニズムの政治思想』を世に問うた。二〇一九年末以降コロナ・パンデミックが襲った世界中で、ケア不足が ...
日曜日、高校時代からの友人、HとNと三人で、久しぶりに会った。 待ち合わせ場所は、Hの会社のロビーだった。会社は、銀座三越のすぐ裏手にある。四時に、三人は顔を揃えた。
──『僕たちは星屑でできている』を読んで 去年の九月から、アフリカ出身の難民男性Pさんが、私の両親といっしょに実家で暮らしている。ウィシュマさん名古屋入管死亡事件をきっかけ ...